NFTとは?仕組み、業界別の活用例、今後の将来性を解説
近年のブロックチェーン技術の発展により、複製が困難な「NFT」というデジタルデータが注目を集めています。
また、NFTには様々なメリットがある一方、法的な問題や環境負荷などの課題があるのも事実です。
そこでこの記事では、NFTの仕組みやメリット、課題や問題点などについて解説します。
▶記事監修者:沼澤 健人氏
仮想通貨やNFT等、デジタル資産の取引データ管理システムを提供する株式会社Aerial Partners代表取締役
企業として、仮想通貨取引の損益を自動で計算するソフト「Gtax」やWeb3事業者向けの経理サポートツール「Aerial Web3 Accounting(AWA)」などを開発・提供するほか、暗号資産交換業者を中心とする金融機関にシステムソリューションを提供している。個人としても、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)税制検討部会 初代部会長を歴任するなど、会計監査・税務の面からWeb3業界の発展に寄与する活動に従事している。
NFTとは?
NFTとは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略称で、ブロックチェーン技術を活用した唯一無二のデジタルデータを指します。従来のデジタルコンテンツと異なり、NFTは複製や改ざんが困難で、その所有権や取引履歴が明確に記録されるという特徴を持っています。
NFTの概念が注目を集めるきっかけとなったのは、2017年に登場した「CryptoKitties」というブロックチェーンゲームです。このゲームでは、ユーザーがデジタル猫を育成し、売買することができました。各猫はNFTとして発行され、その希少性や特徴によって価値が決まります。
NFTの応用範囲は、デジタルアートやゲーム内アイテムにとどまらず、音楽、動画、さらには不動産や特許権などの実物資産のトークン化にまで広がっています。例えば、アーティストが楽曲をNFT化して販売したり、スポーツチームがファン向けの限定NFTを発行したりするケースが増えています。
NFTとDAOの関係
NFTとDAO(Decentralized Autonomous Organization)は、Web3.0の世界で注目を集める二つの重要な概念ですが、その性質と目的は大きく異なります。NFTは、デジタル資産の所有権を証明する唯一無二のトークンです。一方、DAOは「分散型の自律組織」を指します。
NFTは、デジタルアートや音楽、ゲーム内アイテムなど、さまざまなデジタルコンテンツの所有権を表すものです。各NFTは固有の識別子を持ち、その唯一性と希少性が価値を生み出します。NFTの所有者は、そのデジタル資産に対する排他的な権利を持ちますが、必ずしも著作権や使用権を含むわけではありません。
一方、DAOは組織の形態を表す概念です。従来の中央集権的な組織構造とは異なり、DAOでは参加者全員が平等に意思決定に関与できます。この意思決定プロセスは、通常、ブロックチェーン上のスマートコントラクトを通じて実行されます。中央管理者が不在となるDAOの方針や意思決定は、ガバナンストークンという専用のトークンの保有者による答案や提案によって決められる仕組みとなっています。
例えば、NFTとして発行された楽曲の権利をDAOのメンバーが共同で保有可能です。そして、楽曲に関する重要な決定(配信プラットフォームの選定や価格設定など)は、DAOメンバーの合意によって行われます。これにより、従来の業界やビジネスモデルに大きな変革をもたらす可能性があります。
NFTとFTの違い
NFTとFTの違いは、デジタル資産の性質と用途に大きく表れています。NFTは、その名が示す通り「代替不可能」なトークンです。つまり、各NFTは唯一無二の存在であり、他のNFTと交換することはできません。一方、FT(Fungible Token)は「代替可能」なトークンで、同じ種類のトークン同士であれば自由に交換が可能です。
技術的な面では、NFTとFTは異なる規格を使用しています。NFTは主にERC721やERC1155などの規格を採用し、各トークンに固有の識別子を付与することで一意性を保証しています。対してFTは、ERC20などの規格を使用し、同じ種類のトークンが同等の価値を持つように設計されています。
さらに用途の面でも、NFTとFTには明確な違いがあります。NFTは主にデジタルアート、ゲーム内アイテム、コレクティブルなど、独自性や希少性が重要視される分野で活用されています。一方、FTは主に通貨やポイントシステムとして利用されており、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産もFTの一種です。
NFTの技術的な仕組み
NFTの技術的な仕組みは、ブロックチェーン技術を基盤としており、デジタル資産に唯一無二の価値を付与する革新的なシステムです。この仕組みの核心は、各NFTに割り当てられる一意の識別情報にあります。この識別情報は、ブロックチェーン上に不変的に記録され、他のトークンとは完全に異なる価値を持つことを保証しています。
NFTの特徴の一つに、分割不可能性があります。これは従来の暗号資産とは大きく異なる点で、NFTの希少性を高める重要な要因です。この特性により、デジタルアートや限定アイテムなどの価値が保たれ、コレクターや投資家の関心を集めています。
さらに、NFTの技術的な仕組みの中で重要な役割を果たしているのが、スマートコントラクトです。これは、ブロックチェーン上で自動的に実行されるプログラムで、NFTに様々な機能や条件を付加することを可能にします。例えば、二次流通時に原作者に自動的にロイヤリティが支払われる仕組みや、特定の条件下でのみ取引可能とする制限などを設定できます。
ブロックチェーンとNFTの関係
ブロックチェーンとNFTの関係は、デジタル資産の革新的な管理と取引を可能にする基盤技術と、その応用の関係にあります。NFTは、ブロックチェーン技術を活用することで、デジタルコンテンツに唯一性をもたらし、所有権を明確に証明することを可能にします。
ブロックチェーンは、分散型台帳技術として知られ、データの改ざんや不正な複製を防ぐことが可能です。この特性を活かし、NFTはブロックチェーン上に記録されることで、デジタル資産の真正性と希少性を保証します。例えば、デジタルアートやゲーム内アイテムなどのNFTは、ブロックチェーン上に固有の識別子とともに登録され、その所有権や取引履歴が永続的に記録されます。
さらに、ブロックチェーンのスマートコントラクト機能を利用することで、NFTの作成や取引プロセスが自動化されています。これにより、中間業者を介さずに直接取引が可能となり、効率性と透明性が大幅に向上しました。
ブロックチェーンの分散型台帳としての特性は、NFTの取引履歴を誰でも確認できる環境を提供しています。これにより、デジタル資産の所有権の変遷や価値の推移を追跡することが可能となり、市場の透明性が高まっています。
NFTの生成(ミンティング)
NFTの生成は、デジタルコンテンツに唯一性を持たせる重要なプロセスで、ミンティングとも呼ばれます。このプロセスを通じて、アート作品やゲーム内アイテム、音楽、動画などのデジタルアセットが、ブロックチェーン上で固有の識別子を持つトークンとして登録されます。
ミンティングの過程では、まずクリエイターがデジタルコンテンツを作成し、それをNFTプラットフォームにアップロードします。その後、スマートコントラクトと呼ばれる自動実行プログラムによって、そのコンテンツがブロックチェーン上でNFTとして発行されます。
このプロセスにより、デジタルアセットの所有権や取引履歴が、透明かつ改ざん不可能な形で記録されます。
NFTの発行には、複数のブロックチェーンプラットフォームが利用可能です。最も一般的なのはEthereumですが、Binance Smart Chain、Polygon、Solanaなども人気があります。各プラットフォームには独自の特徴があり、取引速度やガス代(手数料)、対応するウォレットなどが異なります。クリエイターは自身のニーズや目的に合わせて適切なプラットフォームを選択可能です。
NFTのメリット
NFTのメリットは、デジタルコンテンツに唯一性を与え、所有権を明確にできることにあります。従来、デジタルデータは容易にコピーや複製が可能であったため、その希少性や唯一性を証明することが困難でした。
しかし、NFTの登場により、デジタル資産に対して「唯一性」を与えることが可能です。
また、NFTの主なメリットには、以下が挙げられます。
● デジタルコンテンツの唯一性を証明できる
● グローバルな取引が可能である
● プログラムにより機能を付加できる
● 物理的なリスクを回避できる
NFTは、デジタル時代における資産管理や創造性の発揮に新たな可能性をもたらす革新的な技術です。
その潜在的な影響力は計り知れず、今後さまざまな産業や社会システムに変革をもたらす可能性を秘めています。
デジタルコンテンツの唯一性を証明できる
デジタルコンテンツの唯一性を証明できることは、NFTの最も重要な特徴の一つです。従来、デジタルデータは容易にコピーや複製が可能であり、オリジナルと複製を区別することが困難でした。しかし、NFTはブロックチェーン技術を活用することで、この問題を解決し、デジタル資産に真の唯一性を持たせることが可能です。
NFTがデジタルコンテンツの唯一性を証明する仕組みは、ブロックチェーンの分散型台帳技術に基づいています。各NFTには固有の識別子が割り当てられ、この情報がブロックチェーン上に不変的に記録されます。これにより、NFTの作成者、所有者、取引履歴などの情報が透明かつ改ざん不可能な形で保存されます。
この技術により、デジタルアーティストは自身の作品にNFTを紐付けることで、その作品の真正性と所有権を明確に証明できるようになりました。例えば、デジタルアートの分野では、NFTによってオリジナル作品と複製を明確に区別することが可能となり、希少性に基づいた価値付けが実現しています。
グローバルな取引が可能である
グローバルな取引が可能であることは、NFTの最も革新的な特徴の一つです。従来のデジタルコンテンツや物理的な資産と異なり、NFTはインターネットを介して世界中のどこからでもアクセスし、取引することができます。
この特性により、クリエイターやアーティスト、企業は地理的な制約を超えて、グローバル市場に直接アクセスすることが可能になりました。
NFTの取引は、ブロックチェーン技術を基盤としているため、高い透明性と信頼性を確保しています。取引履歴はすべて公開され、改ざんが困難なブロックチェーン上に記録されるため、誰でも取引の真正性を確認できます。この特性は、国境を越えた取引において特に重要で、異なる法制度や文化を持つ国々の間でも、信頼性の高い取引を可能にしています。
グローバルな取引が可能であることは、アーティストや企業に新たな収益機会をもたらしています。
例えば、日本のアニメーションアーティストが制作したデジタルアートワークを、アメリカやヨーロッパのコレクターが直接購入することができます。これにより、クリエイターは自国の市場に限定されることなく、世界中のファンや投資家にアクセスできるようになりました。
プログラムにより機能を付加できる
NFTの革新的な特徴の一つに、プログラムによって機能を付加できる点があります。これは、スマートコントラクトと呼ばれるブロックチェーン上で動作するプログラムを活用することで実現されています。この特性により、NFTは単なるデジタルアートや収集品の枠を超え、多様な用途に対応可能な柔軟なデジタル資産となっています。
例えば、NFTにロイヤリティ機能を組み込むことが可能です。これにより、NFTが二次流通市場で取引される際に、自動的に原作者に一定のロイヤリティが支払われる仕組みを構築できます。この機能は、アーティストやクリエイターに持続的な収益モデルを提供し、従来のデジタルコンテンツ販売では難しかった継続的な収入源を確保することを可能にしています。
また、NFTに時間制限や特定の条件を設定することも可能です。特定の日時になるまでNFTの内容を公開しない「リビールNFT」や、所有者が特定のアクションを実行した場合にのみ機能が解放される「インタラクティブNFT」などがあります。
これらの機能により、NFTはGameFiやマーケティングキャンペーンなど、より広範な用途に活用されるようになっています。
物理的なリスクを回避できる
NFTの大きな利点の一つに、物理的なリスクを回避できることが挙げられます。
従来の美術品やコレクターズアイテムとは異なり、NFTはデジタルデータとして存在するため、物理的な破損や紛失のリスクがほとんどありません。これは、NFTを安全に保管し、長期的に価値を維持する上で非常に重要な特性です。
例えば、高価な絵画や彫刻などの実物の芸術作品は、火災や水害、地震といった自然災害によって一瞬にして失われる可能性があります。
また、盗難や不適切な保管環境による劣化なども、物理的な資産が直面する重大なリスクです。しかし、NFTはこれらの物理的な脅威から完全に解放されています。
NFTの課題や問題点
NFTの課題や問題点は、この革新的な技術の普及と持続可能性に大きな影響を与えるかもしれません。これらの課題を理解し、適切に対処することが、NFTの健全な発展には不可欠です。
特に問題視されているものとして、以下が挙げられます。
● 法的および規制上の課題
● セキュリティと詐欺の問題
● 著作権と所有権に関する問題
● 環境への影響
これらの課題に対処するためには、法的枠組みの整備、環境に配慮した技術の開発、市場の透明性向上、著作権保護の強化などが必要です。
また、NFTの価値や機能に対する一般的な理解を深めることも、リスクを回避する点で重要になるでしょう。
法的および規制上の課題
NFTの急速な普及に伴い、法的および規制上の課題が浮き彫りになっています。これらの課題は、NFT市場の健全な発展と、参加者の権利保護にとって重要な障壁となっています。
まず、NFTに特化した法的枠組みの不在が大きな問題です。現行の法律では、NFTのような新しいデジタル資産を適切に扱うことが難しく、これが様々な法的リスクを生み出しています。例えば、NFTの所有権や著作権に関する解釈が曖昧であり、トラブルが発生した際の法的対応が不明確です。
また、NFT市場では詐欺や著作権侵害のリスクが高まっています。実際に、他人の作品を無断でNFT化して販売するケースや、偽のNFTプロジェクトによる投資詐欺などが報告されています。これらの問題に対して、既存の法律では十分に対処できないケースが多く、被害者の救済が困難な状況にあります。
国際的な観点からも、NFTの法的位置づけは複雑です。各国で異なる規制アプローチが取られており、国境を越えたNFT取引において法的リスクが増大しています。例えば、ある国では合法とされるNFT取引が、別の国では規制の対象となる可能性があります。この不確実性は、グローバルなNFT市場の発展を妨げる要因となっています。
セキュリティと詐欺の問題
NFT市場の急速な成長に伴い、セキュリティと詐欺の問題が深刻化しています。これらの課題は、NFTエコシステムの信頼性と持続可能性に大きな影響を与える可能性があり、業界全体で取り組むべき重要な問題となっています。
まず、NFTプラットフォームのセキュリティ脆弱性が大きな懸念事項です。これらのプラットフォームは、高度なサイバー攻撃の標的となっており、ユーザーの資産が危険にさらされるケースが増加しています。
例えば、2022年には大手NFTマーケットプレイスOpenSeaがハッキング被害に遭い、数百万ドル相当のNFTが盗まれる事件が発生しました。このような事例は、NFTプラットフォームのセキュリティ強化の必要性を浮き彫りにしています。
また、偽造NFTや詐欺的なプロジェクトの横行も深刻な問題です。悪意のある行為者が、有名アーティストや人気プロジェクトを模倣したNFTを作成し、投資家を欺く事例が多数報告されています。これらの詐欺は、NFT市場の信頼性を損なうだけでなく、個人投資家に多大な損失をもたらす可能性があります。
著作権と所有権に関する問題
NFTの世界では、著作権と所有権に関する問題が複雑な様相を呈しています。この問題は、デジタル資産の新しい形態であるNFTの特性と、従来の著作権法との間に生じる摩擦から生まれています。
NFTは、デジタル作品の唯一性と所有権を証明する革新的な技術ですが、それが必ずしも著作権の移転を意味するわけではありません。NFTの購入者は、確かにそのトークンの所有権を得ますが、それに紐づけられたデジタル作品の著作権や使用権を自動的に取得するわけではないからです。この点が、多くのNFT所有者にとって予想外の事実となっています。
例えば、有名アーティストのデジタルアートワークのNFTを購入したコレクターが、そのアートワークを商業目的で使用しようとした場合、著作権法に抵触する可能性があります。NFTの所有権と、作品自体の著作権は別物であり、後者は通常、原作者に留保されるからです。
さらに、NFTの世界では著作権侵害の問題も深刻化しています。権利を持たない第三者が、他人の作品をNFT化して販売するケースが増加しており、これは著作権者にとって大きな脅威となっています。ブロックチェーン技術によってNFTの所有権は保証されますが、そのNFTの元となる作品の著作権を保護する仕組みは、まだ十分に整備されていないのが現状です。
NFTのビジネスでの活用例
NFTのビジネスでの活用は、デジタル技術の進化とともに急速に拡大中です。
2024年現在、さまざまな業界でNFTを活用した革新的なビジネスモデルが登場しており、企業はこの新しい技術を活用して顧客との関係性を深め、新たな収益源を創出しています。
音楽業界、スポーツ業界、ゲーム業界はもちろん、食品業界や地域活性化の取り組みの一手段としても活用され始めています。
これらの活用例は、NFTが単なるデジタルアートの枠を超え、実際のビジネスモデルの変革をもたらしていることを示していると言えるでしょう。
今後、より多くの企業がNFTを活用した新しいビジネス戦略を展開することが予想されています。
Matter is Void
「Matter is Void」は、日本の仏教思想「色即是空」に基づいており、物質の空虚性や実体のなさを表現しています。この概念をデジタルアートとNFTの形で具現化することで、チームラボは現代美術と伝統的な哲学の融合を試みています。
興味深いのは、作品自体は誰でもダウンロードして鑑賞できるという点です。しかし、NFTとしては1点のみが存在し、その所有者だけが作品内の言葉を変更する権利を持ちます。これは、デジタルアートの所有権と公共性の新しいバランスを提示しているといえるでしょう。
このプロジェクトは、Pace GalleryのWeb3ハブであるPace Versoで展開されており、アート界における伝統的な機関とブロックチェーン技術の融合を象徴しています。
Imaginary Museum "Time Warp"
Perfumeの「Imaginary Museum "Time Warp"」プロジェクトは、アイドルグループとNFT技術の融合による革新的な取り組みです。
このプロジェクトでは、Netflixで配信されたパフォーマンス映像のデータを基に、Perfumeメンバーの象徴的なポーズを3Dデータ化し、NFTアートとして販売しています。
特筆すべきは、単なるデジタルアートの販売にとどまらず、ファンとアーティストの新たな関係性を構築している点です。購入者は、Perfumeの代表的な楽曲に関連した3Dデータを「所有」することができ、これによってファンエンゲージメントの新しい形を提示しています。
参考:Perfumeオフィシャルサイト「Perfume のNFTアート「Imaginary Museum “Time Warp”」第二弾作品が8/16(月)より順次発売決定!」
My Crypto Heroes
My Crypto Heroesは、日本のブロックチェーンゲーム市場において先駆的な存在として知られています。2018年11月30日に正式リリースされたこのゲームは、歴史上の英雄たちをモチーフにしたキャラクターを集め、育成し、バトルを楽しむという独特のコンセプトで多くのプレイヤーを魅了してきました。
ゲームの特徴は、プレイヤーが所有するキャラクターやアイテムがNFTとして発行されることです。これにより、ゲーム内で獲得したデジタル資産を実際の価値として保有し、他のプレイヤーと取引することが可能となっています。この仕組みは、「プレイして稼ぐ」という新しいゲーム体験を提供し、従来のゲームとは一線を画す経済システムを構築しています。
My Crypto Heroesの世界観は「クリプトワールド」と呼ばれ、プレイヤーはこの仮想世界で様々な冒険を繰り広げます。ゲーム内では、クエストモードでエネミーと戦ったり、他のプレイヤーとPvPバトルを行ったりと、多彩なコンテンツが用意されています。また、国家間の戦争を模したフラッグ戦など、コミュニティ要素も強く、プレイヤー同士の交流が活発に行われています。
B.LEAGUE PARK
B.LEAGUE PARKは、日本のプロバスケットボールリーグB.LEAGUEが展開する革新的なNFTプラットフォームです。このサービスは、バスケットボールファンとB.LEAGUEをデジタル空間でより密接につなぐ新しい取り組みとして注目を集めています。
B.LEAGUE PARKの特徴は、LINEの巨大なユーザー基盤を活用していることです。月間9,000万人以上が利用するLINEのプラットフォーム上で、ファンはB.LEAGUEの公式NFTを購入し、保有することができます。これにより、従来のスポーツファン層だけでなく、デジタルネイティブな若い世代にもアプローチできる可能性が広がっています。
B.LEAGUE PARKで提供されるNFTは多岐にわたります。選手の活躍シーンを切り取った動画、デジタルトレーディングカード、さらにはバーチャルユニフォームなど、様々な形式のNFTが用意されています。特に注目すべきは、360度回転する3DモデルのNFTです。これらは単なるデジタル画像を超え、没入感のある体験を提供しています。
TOKYO IDOL FESTIVAL
TOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)は、アイドル文化の最前線を体現するイベントとして知られていますが、2021年からNFT技術を積極的に導入し、エンターテインメント業界におけるデジタル革新の先駆者となりました。
この取り組みの中核を担ったのが、株式会社Gaudiyが提供する「TIFコミュニティ」サービスです。このプラットフォームは、単なるオンラインチケット販売システムを超え、アイドルとファンを直接つなぐ革新的なコミュニティ空間として機能しています。
特筆すべきは、オンラインチケットをNFTとして発行した点です。これにより、チケットは単なる入場券以上の価値を持つようになりました。NFTチケットは、イベント後も特典が追加されるなど、長期的な価値を持つデジタル資産として位置づけられています。
さらに、TIFは「通りすがりチャンネル」という独自のコンセプトを導入しました。これは、会場の定点カメラ前を通過するアイドルがリアルタイムでデジタルサインを書き、それをNFTとして配布するという画期的な試みです。この仕組みにより、ファンは物理的な距離を超えて、アイドルとの特別な瞬間を永続的に所有できるようになりました。
参考:株式会社Gaudiy「Gaudiy、世界最大級のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」でNFT、ブロックチェーンを活用したコミュニティサービスを提供」
トレーサブルNFT
トレーサブルNFTは、三菱UFJ信託銀行とSBIトレーサビリティが共同で開発した革新的な技術です。この取り組みは、企業の有形無形資産をNFT化し、資産管理や取引の効率化を図ることを目的としています。
トレーサブルNFTの特徴は、NFTと現実世界の資産を明確に紐づけることができる点にあります。これにより、NFTの所有権移転が実際の資産の権利移転と確実に連動し、取引の安全性と透明性が大幅に向上します。
この技術を活用した具体的な事例として「日本酒トークン」の開発が進められています。日本酒業界では、グローバル市場での競争力向上や、古酒・熟成酒の価値創造が課題となっています。日本酒トークンは、これらの課題解決を目指し、日本酒の醸造・熟成段階での権利をNFTとして販売することを可能にします。
参考:三菱UFJ信託銀行株式会社「トレーサビリティ機能を持ったNFT1(「トレーサブルNFT」)の基盤創りと、世界初の「日本酒トークン」発行に向けた共同検討の開始について」
Japan Travel NFT
Japan Travel NFTは、観光業界におけるNFT活用の革新的な事例として注目を集めています。このプロジェクトは、山口県の山口市と萩市を舞台に、「明治維新について学ぶ旅」をコンセプトとしたNFTアートを販売しており、デジタル技術と地域の歴史文化を融合させた新しい観光促進の取り組みです。
このNFTコレクションの特徴は、単なるデジタルアートにとどまらず、実際の観光体験と直接リンクしている点です。NFTを購入すると、現地の施設で使える様々な特典が付与されます。
例えば、萩市文化財施設の1日券が無料になったり、明倫学舎の幕末ミュージアムに無料で入場できたりします。また、地元の宿泊施設や飲食店での割引も含まれており、NFT所有者は実際の旅行でも特別な体験ができるようになっています。
NFTのデザインには、伊藤博文や吉田松陰など、明治維新に関わる5人の志士がモチーフとして使用されています。これにより、購入者は歴史的人物への興味を深めると同時に、その人物ゆかりの地を訪れる動機付けにもなっています。
参考:Japan Travel NFT「Japan Travel NFT 〜Yamaguchi Collection〜」
NFTの今後と将来性
NFTは、従来のデジタルコンテンツの概念を超え、不動産、ファッション、医療など、多様な業界に新たなビジネスチャンスをもたらしています。
さらに、新興市場へのアクセスを容易にするNFTの特性は、アーティストや起業家に新たな機会を提供するでしょう。例えば、途上国のクリエイターが自国の文化や芸術をNFTとして世界に発信し、グローバル市場で評価を得るケースが増えています。
技術面では、新たなブロックチェーン技術の開発がNFTの普及を加速させています。特に、環境負荷の低いコンセンサスアルゴリズムの採用や、スケーラビリティの向上により、NFTの実用性が大幅に向上しています。
一方で、NFTの将来性を考える上で、規制環境の整備も重要な課題です。各国の規制当局がNFTに対する法的枠組みの構築を進めており、これにより市場の安定性と信頼性が高まることが期待されています。