Nextech Week 【春】
2027/4/21 (水) - 23 (金)
東京ビッグサイト

ビジネス現場インサイトレポート
NexTechWeek2026春


本レポートでは、展示会「NexTech Week 2026春」の来場者や出展社の属性・関心テーマ、セミナー内容などをもとに、AI・ヒューマノイド・量子コンピューティングといった次世代テクノロジーの導入や開発を検討する企業が「いま押さえるべき市場の変化」と「投資・実装に向けた論点」を整理します。

1.展示会開催サマリー

AX(AIトランスフォーメーション)推進、AI導入、人手不足解消を目的とした来場者が多数訪れ、大変な賑わいを見せました。

概要

項目 詳細
【開催日時】
2026年4月15日(水)~17日(金)
【開催場所】
東京ビッグサイト
【出展社数】
323社
【セミナー概要】
聴講者数12,807名 総セッション数38
【来場者数】
33,612名(3日間)
【構成展示会】
AI・人工知能、ブロックチェーン、量子コンピューティング、AI時代の人材・組織改革、ヒューマノイドロボット

2.次世代テクノロジー導入ニーズの実態

来場者の業種や職種、目的を手がかりに、次世代テクノロジーのなかでも関心が集まる分野の傾向や、具体的にどの程度導入を検討しているのかを考察します。


■投資したいのは「生成AIの活用」と「データ基盤整備」

本展示会へ来場した方へのアンケートによると、今後一年で企業が最も注力したい領域は、約7割が「生成AI・AIエージェント業務活用」と回答する圧倒的な結果となりました。一方で、AI活用の土台となる「AIインフラ・データ基盤整備(24%)」への投資意欲も顕著です。

 

「人材育成・リスキリング」「セキュリティ・ガバナンス」への注力も上位に並び、生成AIという「魔法の杖」のポテンシャルを引き出すために、整理されたデータや使いこなせる人材やガバナンスの整備を企業が意識していることがうかがえます。


■「フィジカルAI」需要の高まりと、次世代技術の経営テーマ化

今回の展示会で顕著だったのは、ひとつは労働力不足を発端に製造業を中心として「フィジカルAI」への興味関心が高まっていること、もうひとつは次世代技術の導入検討部門がAI・DX部門のみが主体となるのではなく、経営企画部門が大きく検討に乗り出していることです。

業種別の来場者を見ると、最も多かったのは製造業(32%)でした。この結果からは、深刻な労働力不足を背景とした「物理的な自動化」への期待が読み取れます。実際、本展示会の目玉企画である「ヒューマノイド ドリンク ステーション」は22%の来場者が「最も印象に残った」と回答しており、AI(ソフトウェア)と物理的なロボット(ハードウェア)が融合した「フィジカルAI」が、実装フェーズを見据えた関心事となっていることがわかります。

 

もうひとつのトピックは、次世代テクノロジーへの関心が情報システム部門やDX推進部門に限らず、経営企画17.8%、営業15.3%、研究開発・R&D12.1%など事業成長に直結する職種へ広がっている点です。企業が次世代テクノロジーを業務効率化ツールにとどまらず、新規事業創出や競争優位の確立といった全社の経営テーマとして捉え始めていることがうかがえます。



■来場者の声ご紹介


来場者の声1 業種:インフラ業界

「水処理現場において、複数箇所を1人で担当するのは限界があります。そもそもマンホール内などの危険な場所での作業は人間にはリスクが高いため、ロボットを活用して省人化と安全確保を同時に進めたいと考えています」


来場者の声2 業種:中小規模製造業

「現場の高齢化が進み、熟練者が持っている技術が伝承されないという課題があります。高齢の作業員が退職していく穴を、AIやロボットの力で代替・補完できないか、具体的なソリューションを探しに来ました」


来場者の声3 業種:コンサルティング

「汎用のChatGPTだとセキュリティ面に懸念があるため、自社で専用のAIツールを開発し、全社展開しています。今回は、エッジ処理やエッジコンピューティングのトレンド収集、実装を共にする協力会社が見つかればと思い来場しました」


3. セミナー内容からみるトレンド動向

NexTech Week 2026春ではAnthropic Japanやエヌビディアといった最先端企業から学術機関まで、多彩な講師陣によるセミナーが行われました。全体をとおして、ソフトウェアとして業務を変えるAI・AIエージェントと、物理世界の課題解決に踏み込むフィジカルAI・ヒューマノイドの2軸に人気が集中していたといえます。


■注目を集めたのはAI領域とロボティクス領域

申込数の多かったセッションTOP5はすべてAI関連が独占。AIそのものの理解にとどまらず、AIエージェント、AIガバナンス、経営活用など、実務への組み込みを前提としたテーマに関心が集まりました。

次点で多くの人が集まったロボティクス領域では、ヒューマノイドやフィジカルAIへの関心が高く、セミナーでも社会実装や現場活用を見据えたテーマが目立ちました。特に有料の専門セミナーでは、PoC設計、デジタルツイン、導入前の準備、現場実装の鉄則といった、実務に近い論点が扱われています。



【注目セッション】The Era of Specialized Intelligence : フィジカルAI時代の対応戦略


2026年4月17日、MakinaRocks CEOのAndre S. Yoon氏を迎え、特化型AI(Specialized AI)が汎用モデルを超えて産業現場やフィジカルな世界へと拡張していく転換期を展望するセミナーを実施しました。その要旨を講演内容から抜粋してご紹介します。


製造現場では、熟練者が持つ専門知識や暗黙知が必要です。汎用AIはウェブや書籍から学習できますが、現場特有の知識は持っていません。現場データでAIが特化されない限り、汎用AIはほとんど役に立たないのです。

 

完全自律製造に向けた私たちの道のりについてご紹介します。この道のりには「特化した知能」「デジタルツイン」「自律制御」「AI運用基盤」の4つの柱があります。

 

例えばルールベースのアルゴリズムの場合、あるレベルに達するまでに10年以上かかりますが、AIの場合は、そのルールベースのアルゴリズムを超えるのにわずか3ヶ月ほどしかかかりませんでした。結果として、私たちはこのアルゴリズムの性能を7%向上させることができ、SMTの生産性改善に直結しています。

 

将来的には、この特化型AIエージェントの助けを借りて、人間が現在よりも100倍多くの仕事をこなせるようになるでしょう。




4. 技術の導入は進んだ?商談現場動向

実際にどの程度商談は進んだのでしょうか?出展社が実際に来場者の方々と触れ合った印象をもとに、導入の検討具合を考察します。


■需要は想定以上~想定通りで、大企業を中心に「実装・解決」へ

出展している企業へのインタビューを行った結果、今回の出展の手ごたえについて、一定以上満足したとする回答が80.4%を占めました。たとえば、「目標の3倍集客があった」「企業におけるAI活用の現状を把握できた」といった声も見られ、次世代テクノロジー領域は「動向調査」段階から、「実装・解決」の商談に意欲的なリードがいる市場になっていることがうかがえます。

 

また、今回の展示会の来場者構成において大企業(従業員1,001名以上の企業)が43.3%と半数近く。次世代テクノロジーについては、適用先となる業務・従業員数も多く、投資余力や推進体制を持つ大企業ほど先行して検討・実証を進めやすい傾向があると考えられます。

役職別でも、社長・役員・部長・課長クラスといった意思決定層が厚く、AIをはじめとする次世代テクノロジーの導入が、現場部門だけで検討される段階から、経営課題・事業課題として捉えられる段階へ移行しつつあることがうかがえます。


■実装フェーズにおける具体的な課題解決が求められている


次世代テクノロジー市場全体の活性化により、商談の内容は単なる興味本位から、より具体的な実務上の課題へとシフトしつつあります。出展社からは「来場者が持つ課題の解像度が上がった」という手応えが報告されています。

しかし、実際の導入に向けては克服すべき具体的な壁も明確になっており、特にヒューマノイドなどの先端技術に対しては、最新トレンドとして注視されつつも、実用にはまだ数年を要する研究段階であるといった冷静な指摘が来場者側から寄せられています。

 

また、技術への期待は大きいものの、自社の業務にどう活かすかという想像力の不足や、セキュリティの担保、専用環境の構築といった実装フェーズ特有の悩みが顕在化しているのが現状です。

 

こうした状況を踏まえると、今後は単なる情報の提供に留まらず、導入後の運用ルールや人間とAI・ロボットの適切な役割分担など、実務に深く踏み込んだ具体的な解決策を提示することが、商談を成約へと導くための不可欠な鍵となります。



■出展社の声ご紹介


出展社の声① 業種:AI関連

「エッジ処理やセキュリティなど来場者側の課題が浮き彫りになり、対面ならではの手ごたえがあった。」


出展社の声② 業種:AI関連

「目標の3倍集客できた。AI/DXの意思決定層に直接会える点は非常に有意義であり、リードの質も高い。」


出展社の声③ 業種:DX人材関連

「来場者がどのような具体的な課題を持っているかの解像度が上がった。体感は悪くない。」


5.まとめ

このように、NexTech Week 2026春では、AI関連への大きな需要を追い風にさまざまな情報交換や商談が生まれたようです。RX Japanでは季節ごとに次世代テクノロジーを軸にした展示会を開催していますので、興味を持った方は下記からぜひ近日開催予定の展示会を確認してみてください。